はじめに
20世紀は「科学技術の世紀」と言われています。
資源・エネルギ-の大量消費を前提にした現代社会は、自然破壊、廃棄物の大量発生、地球温暖化-地球的環境問題を突きつけています。
又、地方都市に住む私たちに循環型社会づくりの問題提起だと思います。
私たちは何ができるのか、どうすべきなのか行動指針の具体策が示されていませんが、
社会潮流は市民の自立的参加を訴えているように思われます。
(仮称)坂井輪地域都市構想は農と都市の共生際の循環型地域づくりと考えています。
「蔵のある集落再生構想」
定住集落は今から6000年前頃の縄文時代に誕生しました。人類は道具を作り、火を燃やし、農耕をおこなうなかで、産業文明は発展してきました。
新潟市周辺の集落は、角田・弥彦山麗、亀田砂丘(内陸側砂丘列)、安田・新発田の丘陵地に誕生しています。(前山精明氏、鈴木俊成氏)
坂井輪地域は縄文時代晩期2500~2300年前頃に誕生し、倉のある原風景となる緒立遺跡があります。徳川時代の新田開発の時を経てた集落の姿、農耕生活の地域文化が立派に残っているのです。
終戦後の昔、新潟からそんなに遠くない、私の育った里にも誇らしげな蔵が建っていました。鳥たちは(雀、鳩)、たくさん住んでいたように思います。子供心に、豊潤の象徴とし村を感じ育ってきました。
生活の都会化、生産、物流、文明の進展で原景は薄れていますが、農の豊かさ、蔵に、懐かしい農耕民族の郷愁を感じています。
今、環境問題で農業に期待する機運が非常にたかまっています。そして、高齢社会の急激な進行に併せて、人々は癒し、バリアフリ-やユニバ-サルデザインにも関心が高まっています。
蔵のある集落再生構想は農業、都市の持続と共生について、生産、土壌・水、空間建築の各技術と議論し、具体策をつくれればと考えています。
経済学者宇沢弘文先生の「持続的農業と農社」論に非常に感銘しています。
(※著書から抜粋させていただきます。)
□農業経営によって工業部門と同じような利潤を生み出すことはできません。持続可能な経済発展は、自然環境を保全し、社会環境を安定的に維持しながら、経済発展をつづけることを意味します。農業の場合、農社の制度が、持続的な経済発展を実現するために中心的な役目をはたすように思われます。農社は農の営みをたんに農産物の生産に限定しないで、農産物の加工、販売、研究開発活動までひろく含めた、一つの総合的な組織です。しかも、かなりの数の農民達が中心となって、協同的な作業をおこない、市場経済のなかで、経営的にもうまくやっていけるような規模と事業の多様性をもつものです。昔の村落に近い組織ですが、封建的、因襲的な遺制を廃して、リベラリズムの思想に忠実なかたちで運営しようとするものです。農社は宇沢先生の作られた言葉で、「社」という言葉は、文字通り、土をたがやすという意味をもっていました。それが、耕作の神、ついで土地の神を意味するようになり、神様をまった建築物、神社を指すようになりました。社はやがて村の中心となり、村人たちは、社に集まって相談し、重要なことを決めるようになっていきました。社が、人々の集まりを指し、大勢の人々が協力して行動することを意味するようになっていったのです。
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